3.「不滅のあなたへ」

昨晩、何か気分に合う漫画ないかな〜っと探していて偶然出会ったのがこの作品。
1巻が無料だったので試しに読んでみた（面白そうだから、また追いかける漫画が増えるそうだな…とは予感しつつ）。

すると、想像以上だった。
凡百の漫画には無い凄みをこの作品は持っている。

主人公が無垢な存在（世間のことを何も知らない状態）からスタートするのは、
よくあるパターン（読者もその世界観を知らずに読み進めていくので、その方が徐々に世界を知っていく主人公に感情移入しやすい）。

しかしその存在（主人公）が余りにも普通の人間からかけ離れている点が、異質さを生み出している。
その存在は刺激を受けたものをトレースし、いつでも自分の姿を変えたり創り出すことができる。
そして不死であるが故に、普通の人間とは全く異なった視点から人類を視ることができる。

感情が無い訳でもないようで、人間の言動から学び近しい人間を守るような行動を取る。
そしてその甲斐もなく登場人物達はあっけなく死に、出会いと別れを繰り返していく…。

それぞれの人間社会のコミュニティからふとした拍子にはみ出してしまった人物達にスポットが当たっているので、その人生は絶望的で、物悲しく、孤独に満ちている。
しかし主人公のような人外の存在が、彼らにとっては救いとなる物語。

まだ2巻くらいまでしか読んでいないが、この先の展開が非常に楽しみだ。
哲学的な作品だと思う。

追記：
最新刊近くまで読み進めるにしたがって、当初思ってた客観性・哲学性よりもエモーショナルさ・ファンタジー色が全開だが、これはこれで面白くて一気に読み進めてしまった。
13巻から始まる新章が楽しみ。